ご好評をいただいている【世界の国民食】シリーズ。第5回のテーマは……今まで気づきあげてきた好評を一気に瓦解させる可能性のある「G級グルメ(ゲテモノ)」です。……わかってるのに、なんでチャレンジしちゃうんだろ、私。
こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。
じつはこの企画、当初の予定にはなかったのですが、常連投稿者のフィリピン在住Okada M. A.さんからある写真が届いたのです。ご本人は「ファーストフード」のネタとして送ってくれたのですが、「うーん。これをサンドウィッチとかフライドチキンとかと並べるのはいかがなものか」という疑問が湧き……。急遽、他の国からもネタを集めました。はい、「おまえは本当に他人のせいにするのが得意だな」と子どものころからよく褒められていた私です。
ということで、まずは今回の責任者のフィリピン在住Okada M. A.さんのレポートからです。
ちなみに「ゲテモノ」「グロテスク」と表現しましたが、国によって食文化が異なるのはあたりまえ。今や世界中でブームの寿司ですが一昔前までは「日本人は生の魚を食べる」と恐れられ、汚らわしいもののように見られていましたし。というわけで、誹謗中傷したり笑ったりする意図はまったくないことをお断りしておきます。
(※人によってはショックを受ける衝撃的な画像も含まれていると思います。苦手な方は文章だけ読んで、写真は「見なかったこと」にしてください。……無理か)
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1 フィリピンの 「バロット」
日本では夜になって小腹が空いた時などは、やっぱり夜鳴きソバの伝統からか、屋台のラーメンが食べたくなりますが、フィリピンではこれが「バロット」。
孵化する前の家鴨の卵をゆで玉子にしたもので、夜になって暗くなるとどこからともなく行商人が現れ、夜鳴きソバなどど違って客寄せをすることもなく、静かーに客を待ちます。何といってもモノがモノだけに、私等外国人にとっては恐ろしいスナック。何しろ中国では「死胎蛋」と書くそうで。
私も実は一回しか食べた事がなくて、しかももうコリゴリ。しかしフィリピンの人々には大人から子供まで皆に愛されるホラーなファーストフードなのでした……。
(Okada M. A.)
ううっ、確かに鳥らしきものが……。具体的にどの部位かわからないし、わからないほうがしあわせな気がしますが……。
2 タイ・プーケットタウンの「虫のから揚げ」
以前プーケットに旅行に行った時、プーケットタウン近くのローカールマーケットに寄りました。どこの国でもマーケットは興味深いものですが、ここのマーケットはある意味、衝撃的でした。
ガイドブックにも載っていて観光客に人気があるマーケットもプーケットには色々ありましたが、このマーケットは完全に地元の人向け。偶然見つけたマーケットでしたが、興味深く歩いて回っていました。
日本のおでんや焼き鳥のようなもの、スルメなど日本でも食べられているいるようなものが並んでいて懐かしく思いながら見ていたのですが、ある屋台の前で私の動きだけでなく、思考能力も完全に止まりました。そして何が置いてあるのか理解するまでに数秒……。
山盛りのドライフルーツやスパイスと同じように数種類並んでいたのはいろいろな虫のから揚げ(驚)!!! 白いのや茶色いの、そして黒いのも……これが白いのや茶色いのです。
黒いのは……ゴキブリでしたが、さすがに写真撮れませんでした。今となっては撮っておけば良かったと思うのですが、目の当たりにした時は直視するのも難しくヒィ----と思いながら前を通り過ぎてしまったのです(笑)
マーケットは普通の市場のようになっている一角もありましたが、周辺の道路脇にも屋台が並び、そこは地元の人が車やバイクで乗り付けササっと必要なものを買って帰っていました。観光ガイドに載っているような観光名所もいいですが、こういう地元の人々の生活の様子を見ることが出来るのも旅行の素敵な魅力です。
(バレンタ愛)
さすが東南アジアはG級グルメの宝庫ですね。
とはいえ「昆虫食」は人口爆発による世界的な食糧危機、特にタンパク質不足の解決策として国連食糧農業機関も研究をしていますからね。私も「イナゴの佃煮」は歯ごたえもあって、おいしいと思います。
次は私が住むオーストラリアから。とはいえ一つめのネタは「飲茶」店のメニューなので、「香港」発と言えるかもしれません。
3 オーストラリアの「チキンフィート」と「ヘビ型グミ」
飲茶店のメニューの定番G級グルメといえば、「チキンフィート」。つまり「鶏の足」。
「鶏の足なんて食うところないだろ?」という声も聞こえてきそうですが……じつはちゃんと食べられるんです。
パッと見、「二歳児の手」のように見えます。フラッシュをつけて撮影すると……。
さらに「猟奇的な感じ」が増しますね。
味は甘辛く煮つけてあります。口あたりはというと手羽先なんて目じゃないくらいプルップル。「コラーゲンの塊」といった感じです。もちろん食べるのは、まわりの皮の部分だけ。骨までバリバリいっちゃうと、完全に猟奇ワールドに突入するので気をつけてください。
写真はないですが牛や豚の「腸(トライプ)の煮もの」も、飲茶店の定番G級グルメ。マスクメロンの表面のような幾何学模様が素敵です。
「チキンフィート」と「腸」、私はどちらも好きなんですが、日本人では苦手な人が多いみたいで、飲茶店で「それ、ちょうだい」とオーダーすると「日本人のくせになかなかやるな」と認めてもらえます。……別に嬉しくはないですが。
さて、オーストラリア・オリジナルのG級グルメというと、これ。
グミなんですけど、なんと「ヘビ」の形! あの陰湿な目とうろこの感じも見事に再現してくれています。
ヘビ以外にも「ミミズ」とか「カエル」とか「赤ちゃん」の形のグミを見たことがあります。しかも「ドンキホーテ」とか「王様のアイディア」(ふっ、古い)のようなシャレグッズを扱う店ではなく、普通のスーパーマーケットで売られていますからね。
オーストラリア人にしてみたら、コアラのマーチを食べる日本人を見て、「コアラを食うなっ!」って感じなんでしょうけど。
(柳沢有紀夫)
さて、最後は南アフリカです。
4 南アフリカの「スマイリー」
「スマイリー」って、全然G級グルメに似つかわしくないかわいらしい名前ですね。さて、どんな料理なんでしょうか。
じつは以前、この「世界のコトなら」で紹介したのですが……。
(マジで「閲覧注意」なのでやめておくなら今のうちですよ~)
……はい、羊の頭です。具体的にどんな料理かはこちらをご覧ください。記事の一番最後のほうです。
まあ、ちょっと見た目はびっくりなのですが、言ってみれば「羊のカマ」「羊のお頭」。そう、「マグロやブリやシャケのカマや、タイのお頭の羊版」です。カマやお頭が大好物の私としては、「さすがにひとりじゃ食べきれないだろうな」とか「やっぱり目の周りのところがいちばんおいしいのかなあ」といろいろ想像を膨らませてしまいます。
そういえばこのネタを出してくれた南アフリカ在住会員のバンベニ桃さんが、こんなメールをくれました。
「私が外国の方と日本食について話す時に一番引かれるのが馬刺しです。馬肉を食べるだけで引かれるのに、それが生ということにドン引きされます。ヨーロピアンからは『馬は友達だよ!』なんて言われますが、私は九州出身なので、その美味しさがわからないとは、可哀想なヤツめ、と思ってしまいます(笑)」
確かに欧米人、馬を食べると聞くと嫌な顔しますよね。昔、何かの本で「モンゴル人も含め、遊牧民の子孫は馬を食べない」と読んだことがあります。「生死をともにする仲間」なので。
一方、我々日本人のような農耕民族は、馬は「単なる農耕の道具」なので平気なんだとか。
それで思いつきました。いつか「あなたの住む国で、馬と犬、食べますか?」という企画をやってみたいなあ。
記事をアップしているといろいろなことを思いついて楽しいです。
5回にわたって連続掲載してきた【世界の国民食】シリーズは、とりあえず(あくまでも「とりあえず」ですが)今回で第1クール終了。バックナンバーは下記をご覧ください。
【構成:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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