最近、何かで読んだのですが、「和式トイレの使い方がわからない若者たちが増えている」のだとか。しゃがむことを「ウ〇チング・スタイル」と呼んでいた我々の世代では考えられないことです。でも……ただ公衆トイレでドアを開けて和式だったりすると、新たに洋式を探すこともあります。
こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。今回は、世界各国ではどんなトイレの悩みがあるのか集めてみました。
まずは「チップ」が必要というこの国から。
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1 オーストリア
トイレは日本にあるような洋式です。
公共のトイレも比較的キレイで安心して使えます。違うのはトイレ専門のお掃除の人がいてチップを払って入るところも多いこと。場所によっては使用料を払って、鍵を貰う、もしくはドアを閉めてもらう所もあり。使用料の相場は50セント、子供は無料。
共通して困ることと言えば、便座の位置が日本のものより高いこと。大人でも背が低いと便座に座った時に、床に足が届かず……と言ったこともあります。また日本のような「音姫」などというものはなく、全て聞こえます(笑)……が、それに慣れてしまうと日本に帰国した時もその存在に気づかず?(思いだせず?)使い損ねます。
(バレンタ愛)
洋式の便座位置が高いという国はいくつかあります。……というか欧米全般かもしれませんね。
2 カナダ
家庭用は日本のものとあまり変わらないけれど、公共の場の便座はちょっとゴツ目。そして日本のものと比べると高さがあるので背の低い人は足が届かないかも。
違うのはトイレの個室のドアの下が開いていて、外から足が見えること。防犯目的で誰が中にいるのか、いないのかなどが分かるようになっています。ドアの隙間も広めなので、その隙間から外が見えます。慣れるまでちょっと落ち着かないかも。
(バレンタ愛)
3 オーストラリア
トイレの形は一般的な洋式ですが、オーストラリアも着座位置が日本よりも少し高いです。だから日本に一時帰国してしばらくは、かなり違和感があります。
また公衆の男子トイレで、いわゆる「朝顔」(小便器)がなく、排水溝だけのところも多いです。
(柳沢有紀夫)
ただし便座位置が多少高いのなんて、次の国の話に比べたら苦労でもなんでもないようです。
4 グアテマラ
何が困るって、水の流れない水洗トイレほど困るというか、恐ろしいものはありません。都市部ではさすがにそんなことはありませんが、地方に行くと時々ある、水洗なのに水がないので流れない・流せないトイレは、思い出すだけでも背筋が冷んやりするくらい恐ろしかったです(体験談)。それから比べれば、地面に穴を掘って板を渡しただけのトイレなんて楽勝楽勝。
また、街角の公衆トイレや市場のトイレは有料で、お金を出すとトイレットペーパーが貰えます。こういうところは「水洗」ではありますが、レバーを押して水を流すのではなく、貯水槽にある水を洗面器に汲んで便器に直接流すので、小はともかく、大の時はなかなか大変なのであります。
(草野あずき)
和式同様にしゃがみ込むスタイルのトイレが多いのは東南アジアの国々。これらの国々では、お尻を手桶の水で洗うというところが多いです。
5 マレーシア
ショッピングセンターなどでは洋式トイレが増えていますが、伝統的なしゃがむタイプも結構あります。ムスリムを中心に、用を足した後は水で処理する習慣の人びとも多いため、金属製のホースが壁面に設置されてあります。
個室の床は水で濡れていることが多いので、手荷物をドアのフックにかけたりすることになりますが、泥棒にご用心。外側から、ドアの隙間を利用して長い棒などを上から差し込み、内側のフックにかけてあるハンドバッグの肩ひもに引っかけて盗む手口があります。
町なかには公衆トイレはほとんどなく、飲食店などのトイレは汚れていることが多いので、頻繁に掃除が入る、ホテルや大きなショッピングセンターでトイレを借りる方が安全でしょう。ショッピングセンターやバスターミナルの一部では、使用料が必要なところがあります(約5~13円)。
6 タイ
洋式が主流ですが、しゃがむスタイルの便器もあります。事後に水で洗う習慣があるため、水を貯めた水槽に手おけを用意してあるのが伝統的なスタイル。
配水管が細くて詰まりやすいため、「使用後に紙を流さないでください」と書いてあるところが多いので注意。
(森 純)
有名ホテルや最新ショッピングセンターなどは日本と同じように清潔ですが、タイらしさが出るのややはり地方のトイレですね。
自動車で国内を移動する際、日本の道の駅の代わりにPTTというタイ石油公社が運営しているガソリンスタンド兼サービスエリアでの休憩時を例にします。特に女性はタイらしい独特な点を感じられるでしょう。それはタイ式は紙の設置がなく溜め水に手桶で洗い流し、用を足した後も手桶で自分で流す方式と言うことです。紙が使いたい場合は持参で、その場合は溜め水横にあるくずかごへどうぞ。
PTTのトイレは意外ときれいです。掃除係が常に掃除しているところも多いです。大規模なところは人も多く立ち寄るため特に清潔に気を配っているようです。
トイレの清潔というのは昨今発展途上国から中進国となったタイでも気になる点になったらしく、古い建物はトイレの改修や、伝統的なため水でなく日本式シャワートイレットを採用する、などが目立ちます。
タイと言うと発展途上国と言うイメージがありますが、トイレについてはどんな山奥も必ず男女別になっています。男女兼用になっているのはむしろ和食店に多いイメージですね。
(水野聡子)
7 フィリピン
トイレの器には洋式のボールを使用するのが一般的です。ここで日本との違いは、公衆と中流以下の家庭のトイレには、便座とフラッシュタンクがついていないことです。
便座がないので、座って用をたす場合、日本人は中腰でせざるをえないのですが、フィリピン人の正しい使い方は、便座のついていないボールのエッジに乗っかってしゃがんで用をたすやり方です。公衆便所にいくと、エッジにサンダルの跡がついているのに気づきます。
押して水が出るレバーがついていないので、トイレ内に備え付けられた(場合よってはトイレの外にしか水場がない!)の蛇口かバケツから水をくんで自分でボール内の汚物を流します。
トイレットペーパーはボールに流さないのが一般的です。フィリピンでは伝統的にお尻は紙で拭きません。水で洗います(お尻を洗ったの手を石鹸で洗わないのは問題ですが、また別の話)。近年トイレットペーパーをおくトイレも出てきていますが、紙は備え付けのゴミ箱に捨てます。
空港、デパート等のトイレには、フラッシュタンクとトイレットペーパー、ところによってはお尻を洗うミニシャワーヘッドのついたものもあります。
公衆トイレは数が少ない上に、かなり汚いです。水が出なかったり、流すための水を外から運ばなければいけなかったり、流す桶がなかったり、鍵がかからなかったり不具合が多いので、パンツを下ろす前に使えるトイレかどうかよく吟味する必要があります。括約筋は緩めても、気を緩めてはいけないフィリピンのトイレでした。
(オオサワヨシオ)
マニラ: 一昔前は日本型のしゃがむ方式のトイレもあったが、現在はほぼ洋式。但し、洋式便所の上で「しゃがむ」人も少なくないです。フィリピンではこの頃はトイレットペーパーが普及して来ましたが、文化的には「水洗い」が基本。なのでそのための水桶はどんな形であれ必ず置いてあります。
中流以上の家では、洗浄用のハンドル式のシャワーがあります。つまり歴史的に「ビデ」「ウォシュレット」が基本。一年中夏なので温水がなくても平気です。
トイレットペーパーは洗った後に水気を拭う用途が多い。トイレットペーパーで拭くだけなんて、不潔でとんでもない!とフィリピン人の都会人は考えています。
サマール島: トイレは地面に穴を掘った上に西洋式便器(便座・フタ・タンクなし)を置いただけ。土壌の微生物が多いのか、汲み取りは不要。
ただしトイレが特にない場合も多いです。その場合は「野糞」が基本となり、トイレットペーパーは大きめの草の葉っぱ。小便については必ずしもトイレでするものではない、と皆さん思っています。
(Okada M. A.)
トイレットペーパーに関して不思議な習慣があるのがここ。
8 香港
2003年のSARS(Severe acute respiratory syndrome、重症急性呼吸器症候群)以降、公衆トイレがきれいになった。ショッピングモールのトイレには常時清掃係のおばさんがいてトイレットペーパーの交換や掃除をしているので清潔。おむつ替えスペースもある。
ビーチや下町の公衆トイレでは、入ってすぐのところにトイレットペーパーがあるので、各自必要な分だけ取って、個室に持って入る。
(りんみゆき)
急を要するときに死活問題になりかねないのが、次のトイレです。
9 タヒチ
公共のトイレは、大抵カギが掛かっています。ショッピングモール等でも大抵カギ掛かっていて、モールの各店舗がカギを持っていて、お店にカギを借りてトイレに入ります。
(浜口幸喜)
借りている間にああ、なんてことも起こりそうで怖いです。
トイレに関する意識も進んでいるなあと感じたのが、やはりこの自由の国!
10 アメリカ
アメリカ、特にリベラルな都市であるシアトルでは、「オール・ジェンダー」用のお手洗いが増えています。男性用でも女性用でもなく、性同一性障害などで生まれながらの性別に疑問を持っているすべての人が使えるトイレです。病院の問診票などでも、性別の選択肢が(1)男性(2)女性(3)その他、とトランスジェンダーの人たちを考慮する内容になってきています。
(Misako)
以上、世界10ヵ国のトイレ事情でした。次回は世界各国の「トイレの呼び方とマーク」に迫りたいと思います。
※「世界各国のインフラ事情」シリーズは下記の通りです。
- その水、飲めるの? 世界12ヵ国の水道水事情
- 手紙は届く? 世界11ヵ国の郵便事情
- 停電なんて日常茶飯事? 世界11ヵ国の電力事情
- ガスは一般的でない? 世界8ヵ国のガス事情
- 臭くてもふたはできない。世界10ヵ国のトイレの悩み
- 旅行先で困らない! 世界8ヵ国のトイレの呼び方と図柄
【構成・柳沢有紀夫】
(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)
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