世界各国在住で活躍中の日本人ライターへのインタビュー【海外ライターに訊く】。第1回はオーストラリア在住で海外書き人クラブの創始者兼お世話係の柳沢有紀夫さんの登場です。
オーストラリアでライターになったきっかけを教えてください。もともと日本ではライターをしていたのですか?
いや、日本では外資系の広告代理店でコピーライターをしていました。でもちょっと忙しすぎて子育てにも全然参加できないから、とにかく会社を辞めよう、と。で、どうせ辞めるなら昔から妻と「いつか住もう」と言っていたオーストラリアに移住することにしたんです。
無事に永住ビザが取れたのはいいんですけど、オーストラリアで「日本語のコピーライター」の求人なんてあるわけないじゃないですか。で、同じように書くことだからと、まったく畑違いのライターを始めることにしたんです。これならば取材以外は家にいる仕事なので、ちゃんと「子育て」もできますから。
スポンサーリンク
ただ移住して結構早くに書籍を出していますよね。
そうですね。処女作の『極楽オーストラリアの過ごし方』(山と渓谷社)の執筆依頼が来たのが移住から1年8ヵ月後で、実際に発売されたのがその半年後。2冊目の『オーストラリアで暮らしてみたら。』が出たのはその3ヵ月後です。その後、共著なども合わせて20冊ほどの書籍を出版していますね。
まったくの畑違いからライターになって、そんなに早く本が出せるものなのですか?
じつは私の場合、1作目も2作目も中学・高校の友人が知り合いの編集者を紹介してくれたのです。持つべきものは友だちですね。といっても一方的に利用するだけでなく、ちゃんと彼らにも仕事や、彼らのプラスになるような知人を紹介しています。そういう意味ではあまり運がいい人間ではないですが、「人と出会う運」だけは恵まれていると思います。
SNSでどれだけ友だちがいるかは私にとってはどうでもよくて、離れていてもお互いを信頼しあえて、何年かぶりに連絡しても一肌脱ぎあうことができる信頼できる「仲間」がどれだけいるかが重要だと思います。まさに「量より質」ですね。
得意分野はなんですか?
うーん、結構あれこれ手を出しています。書籍も、ジャーナリスティックな『値段から世界が見える!』(朝日新書)や日本人論的な『日本人はホントに「世界の嫌われ者」なのか』(新潮文庫)から、海外の変な日本語を集めた『日本語でどづぞ』(中経の文庫)や『世界ニホン誤博覧会』(新潮文庫)まで、硬軟とりまぜて。
それから書籍にはなっていないですが、旅行ものは得意ですし、好きです。日本航空ビジネスクラス機内誌兼JALカード会員誌『AGORA』で巻頭の10ページの特集を何度も執筆させてもらっています。
登山とかハイキングも好きなんでアウトドアものも書きたいですけど、オーストラリアには高い山がないっていうイメージからかあまり注文が来ないのが寂しいです。ブリスベンに近い「オーストラリアのゴンドワナ多雨林群」なんて世界遺産に登録されていて、「両側が切り立った崖。その下はズドーンと大平原」みたいな絶景がそこらにあるんですけどね。
インタビュー記事の執筆もお得意ですよね?
ああ、得意ですね、確かに。
サーフィンの世界チャンピオンのマーク・オキルポや世界で最も有名な旅行ガイドブック『ロンリープラネット』の創始者であるトニー&モーリン・ウィラーといったオーストラリア人なら知らない人間はいないほど有名人から一般の方まで。それから外国人でも日本人でも。
あと他のライターが書いた5ページほどのインタビュー記事を、ゴーストライターとしてリライトするという月刊誌の仕事も4年ほどやりましたね。編集者から「あなたがリライトしないなら、海外書き人クラブには発注しない」と言われて。
インタビュー以外にもリライトの仕事は多いです。
インタビュー記事のコツはなんですか?
聞いた話をそのままの順番で書かないで、きちんと起承転結みたいな「ストーリー」にすることです。フィクションだけでなくノンフィクションでも優れた書籍だと「ストーリー」があるじゃないですか? それと同じです。
インタビューした人に記事を確認してもらうときによく、「いやいや、ビックリしました。私が口にできなかった心の中の思いをこうやって形にしてくださって。ありがとうございます」と驚かれたり感謝されたりするんですけど、じつは全部ご本人がインタビューでおっしゃっているんです。ただまだうまく整理されていないから、本人は「心の声」だと思っている。それを秩序立てて、本人だけでなく読者にもわかりやすく提示してあげるのがインタビューの仕事です。
リライトの仕事も同じです。取材したことをすべて均等に入れてしまう人が多いですけど、「いやいや、ここの話、無茶苦茶おもしろいじゃん」と見つけてあげて、だとしたらそれと対比する話を前に持ってくれば、その話がさらにドラマティックになる。ある意味、「取捨選択と入れ替え」の作業ですね。
海外書き人クラブのお世話係ですが、そもそもどういう風にしてつくられたのですか?
そのあたりに関しては、海外書き人クラブのウェブサイト内にある「お取り引きをお考えのみなさま。海外書き人クラブについてお話します」をご覧いただけるとよくわかると思います。
それから入会を考えている方は「ご入会をご検討のみなさま。海外書き人クラブについてお話します」を。ライターやジャーナリストだけでなく、カメラマン、現地コーディネーター、翻訳者・通訳者など、様々な人材を受け付けています。ただし海外書き人クラブで受注している仕事は、ウェブで広く求人しているようなものと比べて文字通り桁違いに単価が高いものが多いですから、「ちゃんと得意先のリクエストに応える技量があるか」の判断のために「宿題」をお願いしています。くわしくはサイトの「Contact Us ~ お問い合わせフォーム ~」をご覧ください。
ということは、かなり経験豊富な人でないとダメということでしょうか。
いや、経験はあまり重要でないです(笑)。大切なのは「社会人としての常識」と「人間性」です。
つまり「約束を守る」とか「人をだまさない」とか「発注者を満足させることが仕事であるとちゃんと理解している」とか。そういうベースがしっかりしている人は、素人でもノウハウさえ伝えればすぐに戦力になります。逆にどんなベテランでも、そのあたりがちゃんぼらんな人はカウントできない。
あっ、最初の「信頼できる仲間をどれだけ持つか」って話にもどりましたね(笑)。結局私の基本はそこなんですね。
柳沢有紀夫さん(オーストラリア在住ライター)の5つのセールスポイント
- 書籍の執筆経験多数(小説も含めて約20冊)
- 各国からの原稿をまとめた書籍や特集の編著が得意
- 旅行物やアウトドア系が得意
- 外国人・日本人、著名人・一般人問わずインタビューが得意
- リライトも得意
柳沢有紀夫さんの「世界のコトなら」執筆記事(一部)
- 世界7ヵ国のクリスマスイベントを一挙公開
- ライターのレベルアップに絶対必要な4ポイント
- 「世界一住みやすい都市ベスト10」2つを比較してみる
- 【世界遺産を歩く】ツインフォールスサーキットの5つの楽しみ(オーストラリアアウトドア部)
- 海外で人気。PPAPとBABYMETALときゃりーの類似点
【文・海外書き人クラブ】
(海外20ヵ国のライターが力を合わせてできた本の告知が一番下にあります。ぜひご覧ください)
スポンサーリンク
スポンサーリンク