「マル金」は「金」の字を丸で囲ったもので、やることなすことすべてがポジティプな方向に進んで高収入が得られる「お金持ち」のこと。
対義語は「マルビ」で「貧乏」の「ビ」の字を囲ったもので、「マル金」とは逆になんでもかんでもネガティブなほうに行ってしまうどん底生活のこと。渡辺和博の『金魂巻(キンコンカン)』(1984年)で流行った。
「マル金とマルビの間に〈中間層〉があるだろう」と思われるかもしれない。当時は「一億総中流」などと言われていたし。
だが、じつは全体の1パーセント程度が「マル金」で、残りの99パーセントが「マルビ」だったのだ。「ヤンエグ」が話題になったとしても、そんな人、ほとんどいなかったもの。そういう意味では「アメリカ型の極端な格差社会に突入した」と言われる現代日本の図式を、渡辺和博さんは30年以上も前に予見していたかもしれない。
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