アンネ/アンネの日(1970年代)

女性の「月経」を「アンネ」、「月経の日」を「アンネの日」と呼んだ。アンネ・フランクの『アンネの日記』に生理の記述があるとかで、日本で最初に使い捨て生理用ナプキンを発売した会社が、「アンネ社」という名前にしたことから。また1961年にこのナプキンを発売した際、「私たちはこれから生理の日を『アンネの日』と呼びます」と広告したことによるそうだ。

宣言するのはいいけど、アンネ・フランク、草葉の陰で号泣したと思う。自分の名前が生理のことをさすようになったら、アウシュビッツとは違った意味で、かなりの拷問だ。いくら姓が「フランク」だからって、フランクに許せる話じゃないと思う。

たとえばあなたが「太郎」という名前だとして、「私たちはこれから生理の日を『太郎の日』と呼びます」とか広告されて、女の子たちが「今日から私、太郎になったの」とか、「ゴメンね。今日から太郎、はじまっちゃった」とか、「あらあら美奈ちゃん、初めての太郎ね。おめでとう」とかって言われたら、やっぱりキツいよね。撤廃のために、血がにじむような努力をしたいと思うもの。

とにかく。当時は「生理」とか「月経」とか露骨に言わない風潮があったので「アンネ」は良く使われたが、使用者数が増え使用頻度が高まるにつれ「隠語」は「隠語」でなくなってしまう。まあ、隠語の宿命のようなものだろう。「アンネ」という言葉自体も次第に隠語ではなく、露骨な表現となり、結局死語の仲間入りをした。アンネ・フランクも卒業できて、胸をなでおろしていると思う。

ちなみに中学時代の友だちで「あんねー、あんねー」と呼び掛けるヤツがいて、私はよく「そういうことを人前で、大声で言うのはやめなさい」と注意した。

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