スーダラ(1960年代)

あまり力んでがんばりすぎると疲れるから、いい加減に手を抜いて「ダラダラ」と、でも「スーイスイ」と調子良く行こう。……そんな「サラリーマンの理想の生き方」を表現した言葉だが、世にあまたある「生き方指南」と同様、「理想と現実の間のギャップ」は常につきもの。「モーレツ社員」にならざるをえない人のほうが多かった。

ただしこの「スーダラ」思想は、のちにモービル石油のCMソング「♪のーんびり行こうよ~」に継承されるから、やっぱりこの高度経済期の理想ではあったのだろう。似たような言葉で「グータラ(ぐうたら)」があるが、ただラクして怠けているだけでなく、「出世なんかはスイスイできたらいいなあ」という調子のいい気持ちが込められているあたりが、まさに「スーダラ」!

用法は、

あいつの生き方はまさにスーダラだな

とか、

うちのスーダラ息子にはホントに困ったものだわ

とか。

ドリフターズ登場前に一世を風靡したコミックバンド、ハナ肇とクレージーキャッツの歌った「スーダラ節」(1961年)から生まれた言葉。作詞は放送作家で元東京都知事で「青島だあ!」の青島幸男さんだが、「スーダラ」の顔と言えばこの曲を歌った植木等さん。ちなみに植木さん、「スーダラな無責任男」を演じていたがものすごく真面目な方だったらしい。筆者がかつて所属していた広告業界でも、「CMになかなか出演してくれない大物」として有名だった。

この植木さんの「スーダラ」な雰囲気を受け継いだのが、所ジョージさん。だが21世紀に出てきた若手芸人でこのスーダラ感を漂わせている人がいないのが、ちょっと残念。

【関連語】 ♪わかっちゃいるけどやめられない~ モーレツ グータラ

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